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メンターウィーク企画:【「千と千尋の神隠し」からみる文学の世界】

授業・学び

【 メンターウィークとは… 】
品川翔英では、生徒が自分で選ぶ担任を「メンター」と呼びます。
各メンターは生徒が視野を広げたり成長したりするのに必要と考える講座を長期休暇中に企画し、参加希望の生徒を募ります。
これらの企画は教員が教科や興味や関心、得意なことを活かして行われ、この講座が開かれる期間を「メンターウィーク(MW)」と呼んでいます。
受験対策や補習など、授業の延長線上に位置する講座もありますが、普段の教科学習では体験できないような活動も多く体験でき、非認知能力の育成が期待されます。
以下、国語科の今井よりご報告です。

7月26日(水)に「『千と千尋の神隠し』からみる文学の世界」という講座を実施しました。中学1年生から高校2年生までで14名の生徒が参加をしてくれました。
ジブリ作品は幅広い世代から愛されるアニメーション作品です。そのジブリ作品の中でも「千と千尋の神隠し」は、文学的要素を豊富に含んだ作品で、観る人の心を惹きつける仕掛けが多く施されています。

〇実施目的
1.「千と千尋の神隠し」の謎に迫ると同時に、文学を楽しむ上で重要なポイントを伝えること
2.本講座を通じて、生徒が文学を楽しいと思えるきっかけをつくること

〇実施内容
 参加者数は事前に予習として「千と千尋の神隠し」を観てくるようにお願いをしていたこともあり、生徒たちは気合い十分です。
まずは自分で「千と千尋の神隠し」について考察してみようということで、ワークシートを配付し、生徒たち自身で「なぜ両親は豚にされたのか?」「カオナシはどんな人物か?」「銭婆の家へ行く列車の乗客が黒い影になっているのはなぜか?」という3つの観点から自分の考えをまとめてもらいました。
個人で考察をした後は、生徒同士で意見交換をしました。席が近い人同士で学年に関係なくグループを分けましたが、皆さんジブリ好きということで、すぐに打ち解けている様子でした。

その後は、「文学における境界線」「なぜ両親は豚にされたのか」「カオナシはどんな存在か」「銭婆の家へ行く列車(海原電鉄)」について仏教的観点から考えたり、人物像を読み解いたりしながら、理解を深めました。
また、文学を読む時はここに注目するともっと文学を楽しめるというポイントをいくつか伝えました。生徒たちは頷いたり、時々驚いたりとさまざまなリアクションをしながら聞いていました。
最後の10分間で生徒たちに授業の振り返りをしてもらいました。

〇講座を通じて…
講座終了後は、生徒たちに振り返りをしてもらいました。
①本日の授業で印象に残ったこと
②本日の授業で学んだこと
③感想
の3点についてまとめてもらいました。以下、生徒の振り返りの一部を紹介します。

中学生Aさん
「『千と千尋の神隠し』という作品は、神様の世界と人間の世界を表していると考えることができ、この話がより一層面白く感じました。仏教や、人間の心など、さまざまな視点で見ると、色々な考察ができるということがわかりました。このことを踏まえて改めてこの作品をみてみたいなと思いました。」

高校生Bさん
「今まで私が考えていた世界観以上に奥のほうまで切り開いた考察とそのための知識が目いっぱい詰まった授業で本当に有意義で楽しい時間をありがとうございました。またこういう授業がMWであるなら今度はハクのその後や湯婆婆と坊の関係性についての考察も聞きたいです。」

生徒たちの中で「千と千尋の神隠し」についての理解がより一層深まったようです。「別の作品の考察もぜひ聞きたい!」という声もありました。この授業を通じて、ジブリ作品をきっかけに文学について今までよりもさらに深く考えることができました。