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中学生向け教育講演会
理系へのいざない〜「学び続けるLEARNER」



本校は2022年7月29日、「理系へのいざない」をテーマに、中学生にとって「これからの学びに何が大切か」を皆さんと一緒に考える座談会を開催しました。お話しいただいたのは、京都先端科学大学工学部教授の田畑修先生、福岡や東京で私立中高一貫校の開設に携わってきた本校校長の柴田哲彦先生、そして本校教育イノベーションセンター長であるコアネット教育総合研究所の川畑浩之副所長です。司会は、京都先端科学大学特任教授の山本名美先生にお願いしました。

この座談会は、①田畑先生による「工学の面白さ」②同大工学部のZilu Liang講師による「暮らしの中の工学」に続く3部構成の教育講演会の一環。中学生全学年が出席し、保護者向けにはYouTube Liveで同時中継を行った(以下敬称略)。

理系の学びは、失敗と挑戦の繰り返し

- 山本
先ほどの田畑先生の講演の最後で、「3つの大切なこと」について行ったアンケート「どれが一番響いた?」の結果を発表します。①「好きなことを見つけて深める」122票(51.9%)、②「自分の可能性を信じる」64票(27.2%)、③「自分で考えて行動する」49票(20.9%)でした。①と答えた生徒が122人もいたことは素晴らしいですね。

- 田畑
ここが一番響いてほしいと思っていたところでした。

- 柴田
勉強だけで中学時代を過ごすのは、本当にもったいないと思います。田畑先生が見てこられた「好きなことを見つけて深める」具体的なケースをご紹介いただけますか。

- 田畑
身近な例で言うと、2020年4月に京都先端科学大学工学部に入った一期生がいます。彼はまだ授業で全然習っていないのに、スマートフォンのアプリ「P-MASK(プライバシーマスク)」を作ってしまいました。動画コンテンツのプライバシー保護が手軽に行える動画加工アプリケーションです。他人がアップした動画に承諾なしに自分の顔が映ってしまい、それが原因で誹謗中傷を受けたという身近な事例が動機となり、そういうことが起きないようにするアプリを開発しました。その学生は、若手クリエイターの育成支援を目的とする2021年度「未踏IT人材発掘・育成事業」(独立行政法人情報処理推進機構主催)に自ら応募して、当時大学1年生ながら見事に一次審査を通過しました。彼は今カナダに留学中ですが、留学先から日本のベンチャー企業のサポートもしています。自分の中に「これをやりたい」という強い思いがあるからですね。

- 山本
ここにいる中学生のみんなにもできるでしょうか?

- 田畑
自分が好きなことにのめり込んでいけば、「それについては何でも聞いて!」というところまで絶対行けるはずですから。だれでもそのチャンスはあります。

- 柴田
自分が得意な分野で一番になれるように今の時間を過ごしてほしいと、私もいつも思っています。

- 山本
そのためには、「好きなことを見つけて深める」だけでなく、アンケート2番目の「自分の可能性を信じる」も、大事になりそうですね?

- 田畑
私が中学を受験した時に、体育の実技試験に鉄棒の後ろ回り(後転)がありました。それまで一回もできなかったのに、できるはずだと思ってやったら、できたんです。もしあの時、「今までもできなかったからなあ」と思っていたら、絶対にできなかったでしょう。「できる」と信じてやればできる。どんなことでもきっとそうだろうと思います。

まず面白いと感じることを見つけよう。出発点はそこから



- 山本
「好きなことを見つけて深める」「自分の可能性を信じる」「自分で考えて行動する」という3つの大切なことを、大学ではどのように具体化しているのでしょうか。柴田校長は昨年秋に京都先端科学大学を訪ねて、さまざまな先端施設をご覧になりましたね。

- 柴田
本校に置いたら、皆がどんなふうに遊ぶかなとか、どんなことができるかなと思いながら見学させていただきました。

- 田畑
本学では、学生たちが自由に利用し、創造力をフルに発揮して、作りたいものを設計し、形にしていけるよう、さまざまな先端技術を使った施設・設備を整えています。その充実度は全国の科学技術系大学の中でも群を抜いているでしょう。

例えば電子回路を設計して製作する電気電子工房。回路の基盤を作る装置を、学生が自由に使える環境になっています。学生が2年の秋に旋盤の使い方を習った後は、機械工房で自分で好きなように設計したものを作れる環境が整っています。3次元プリンターが並ぶサイエンスプラザ。プラスチックのファイバーを溶かしながら積み重ねて、コンピューターで設計したいろいろなものを作ることができます。こちらはそうして3次元プリンターで学生たちが作ったフィギュアの数々です。これは無線で動く車。大学構内を画面コントロールで走れる車を作りたいと言った学生の発案です。

- 山本
皆さん(会場の中学生に)、これをやってみたいと思いますか?

- 生徒A
もし触ったら)壊す気がする。

- 田畑
成功した科学技術とは“失敗してなんぼ”、失敗の繰り返しの結果なんです。こういうことをやったら失敗する、壊れるんだなと気づいて、またやってみる。それを繰り返すことができるのが大学です。

- 山本
今日は理系の話をしてきましたが、「理系って難しい」と思う人は、手を挙げてもらえますか? 半分ぐらい? 逆に「理系って楽しそう」と思う人は? それも半分ぐらい。田畑先生、いかがですか? この反応をご覧になって。

- 田畑
理系が難しそうと思っている人は、数学や物理が嫌いとか、そういう理由だと思います。例えば今日、私の講演で1円玉が水に浮かぶ理由を知って、「なんか面白いな」「帰ったらやってみようかな」って思ったでしょ、きっと。そういう興味で動いていくのが理系なんです。徳川家康が好きという人もいれば、一円玉が水に浮くのが不思議だと思う人もいる。なんか面白いことがありそうと思う、それが最初です。試験で良い点をとるために数学や理科を勉強しようとするから、嫌いになるのです。

- 山本
京都先端科学大学と品川翔英を引き合わせてくださったのが、川畑さんです。この「3つの大切なこと」と共通するところがあるのでしょうか?

- 川畑
新しいことに挑戦しようとするところに、両校の共通点があると思います。

「学び続けるLEARNER」として、日々アップデート

- 山本
ところで(スライドVUCA画面)VUCA(ヴーカ)という言葉を聞いたことある人はいますか? VUCAは、今の時代を象徴する言葉として、言わているキーワードです。変動性(Volatility)・不確実性(Unsertainty)・複雑性(Complexity)・曖昧性(Ambiguity)の4つの頭文字をつなげた言葉です。不安定な、厄介な世の中で昔のモノサシ(価値観)が通用しなくなってきている時代に、品川翔英が掲げる「学び続けるLEARNER(ラーナー)」というキーワードは、とても大事だと思います。VUCA時代の教育や学校づくりについて、川畑さんはどのようにお考えですか?

- 川畑
「学び続けるLEARNER」というのは、この学校の先生たちが「これからの社会に必要なのはどんな人か」を議論して作った言葉です。新型コロナ禍でいきなり休校になったり、今までとは違う学校生活になって、これからは先生が何を教えるかではなく、皆さんが何を学び、何ができるようになるかが、とても大切です。学校主導ではなく、生徒の皆さんが中心になって学校の行事や授業を作っていくアクティブラーニングの姿勢が重要です。そして、それをアップデートし、日々進化させること。この二つが大切だと思います。これからこの学校では、いろいろなことに挑戦する環境づくりをたくさんしていくと聞いています。皆さんも新しい学校づくりにどんどん参加して、いろいろな意見を言って、充実した学校生活を作っていってもらいたいと思っています。

- 田畑
私がお願いしたいのは、子供たちだけでなく、お母さんやお父さんも、何か好きなこと、面白いことを見つけてください。そして、それに一生懸命取り組んでいる姿を子供に見せてくださいということです。そこで見つけた面白い気づきや驚きを、子どもと一緒に話してほしい。中学生の皆さんも、どんな小さいことでもいい。日々「今日こんなことあったよ」と話してほしい。そういう雰囲気が家庭の中に生まれることが、子どもの成長に繋がるのだと思います。身の回りにある小さな気づきを家族で共有して、友達と共有して、そして先生と共有して。そうやってお互いに刺激を分け合って盛り上がっていく。それが自分の考えを広げていく大事な一歩ではないでしょうか。

- 山本
ありがとうございます。生徒の皆さんが最後まで真剣に聞いてくれたことに、とても感動しています。

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